「なぜ辞める?」から「なぜ辞めない?」にフォーカスしてみたら - 日本産業ストレス学会-産業ストレス/メンタルヘルス情報発信

PD(Positive Deviance)ボックス

「なぜ辞める?」から「なぜ辞めない?」にフォーカスしてみたら

Case2

(カテゴリ)早期発見・早期対応、相談対応
(業種)製造業
(従業員規模)300〜499人

(氏名)児玉裕子(Yuko Kodama)様
(職種)保健師・公認心理師
(所属)コミュニケーションデザイン・ふぉろむ


起:対象者や職場の状況など、背景について教えてください)
若い従業員の離職が続くことで、管理監督者は職場を否定されているような感情になり自己肯定感、自尊感情の低下が心配される状況にあった。

承:何が起こっていましたか? )
個人面談を実施したところ、様々な感情を吐露され、またうつ状態を呈する方もいることがわかった。その感情が職場のモチベーションを低下させ、また心理的に不安な状況を作り出すネガティブな連鎖を引き起こしていた。

転:何に気づき、行動しましたか? )
メンタルヘルス対策を浸透させていくこと、メンタルヘルス不調者のサインに気づきと声かけができること、「辞める若者」の視点から「辞めない若者」の視点にシフトすることで、当たり前で無意識になっている職場の良さに自ら気が付いて欲しいということを感じた。
離職について共通した感情は「なぜ辞めるのか(怒り、悲しみ、諦め)」「職場のどこが悪いのか」ネガティブなものであった。管理監督者の視点である「離職する若者」から意図的に「同じような状況で辞めない若者」に視点をシフトする問いかけを行った。
辞めない理由の中に、その職場にしかない強みや資源、資産がたくさんあり、良いところ、素晴らしいところを見える化していくことを提案した。

結:どんな結果につながりましたか?)
アンケートから「辞める理由よりも、残る選択をした理由にフォーカスすべし、今後の方向性に光が見えた」等とあったことから、
参加者は自分の職場で実際に起こっていることを、ネガティブな感情からポジティブな感情に置き換えることができたのではないか、自分自身や職場の状況を肯定的に捉える気持ちの変化があったのではないかと考える。

どのような点が良かったと思いますか?)
「なぜ辞めるのか?」「どこが悪いのか?」の原因追及問題解決のギャップアプローチではなく、対話によるポジティブアプローチで、参加者が自らポジティブ感情を生み出したこと。ポジティブな感情が、考え方や行動の変化のきっかけに繋がったこと。
外部支援者として、看護師や人事担当者との信頼関係の構築の中で同じ方向性を持ち、一緒に進めていけたことがとても良かったと感じる。

ご協力をありがとうございました)


 

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