指導をしない保健面談

(カテゴリ)早期発見・早期対応、相談対応
(業種)製造業
(従業員規模)1000人以上
(氏名)松井加江(Kae Matsui)様
(職種)保健師
起:対象者や職場の状況など、背景について教えてください)
健康診断の結果等で生活習慣の見直しが必要な人や産業医の指示で保健指導が必要な人
承:何に気づき、行動しましたか)
保健指導の対象者は毎年同じメンバーが多く、指導される内容も毎年同じとなることが多いと思われる。そのため、対象者からは、自分でも分かっていることを再度指導されることやインターネットで調べればわかることを指導されることに対し、保健指導を受ける必要性を感じないとの意見がある。そのため、対象者が医療職と話してみようと思える案内方法や対象者にとって有意義な時間とするための工夫が必要であると考えた。
転:どのような展開がありましたか?)
実施する保健指導のネーミングを指導という言葉を用いないネーミングに変更した。また、面談前に自らの健康についての振り返りや自己学習を行い、自分で目標や達成のための取り組み計画を立ててもらう。その目標や計画はデジタルツールを用いて、計画を入力すると自動的に健康診断結果と行動計画が対象者へ送付される仕組みを準備した。
また、案内時には“健康について話す時間であること”をしっかりと伝える。対象者との面談時には“ましょう”という言葉を使わないこと、上から目線の指導とならないように心がけている。
結:どんな結果につながりましたか?)
面談実施率が向上した。また対象者が継続フォローを希望するようになった。
どのような点が良かったと思いますか?)
面談前に自ら計画を立ててもらうことは、指導者の一方的な指導となることが防げ、対象者が主体的に話すきっかけとなっている。またデジタルツールの活用はデジタル化に関心のある従業員が計画シートを作成してみようという意欲につながったり、実際に自分で決めたことが文字として示されることで行動変容のきっかけとなったりしている。面談時には、指導者が指導をしないこと(できていない部分にフォーカスしない)が本人の自己決定を否定しないサポートとなり、対象者が自ら改善が必要な部分や今後に向けての良い選択に気がつくことができている。継続支援の希望も増え、良い生活習慣を継続するための動機づけの機会になっている。
ご協力をありがとうございました)